山梨県は、人口10万対の看護職員数では全国32位となっています(令和6年12月末のデータ)。5つの圏域がありますが、峡南地域(静岡県と接する地域)や富士・東部地域(神奈川県や東京都と接する地域)では、周辺地域へのアクセスも良好なため、県外で就業する方もいらっしゃいます。そこで、山梨県ナースセンターでは、県内の施設の魅力発信や、働き続けられる職場環境づくりに力を入れています。
山梨県内には、多くの農家さんが活躍しています。なかには、看護職の資格をもちながら、親世代の引退や嫁ぎ先の関係で農作業を手伝っている看護職もいます。そこで、山梨県ナースセンターでは、農閑期に医療機関や施設で働いてもらえるよう、個々のニーズに合わせたマッチングをお手伝いしています。
実際に、食事介助や入浴介助に入る形で、農閑期にだけ病棟勤務するケースが生まれました。看護職の働きたいというニーズも満たしながら、医療機関からは病棟業務を一部でも担ってもらえてありがたいというお声をいただいています。
「山梨県看護職員確保定着促進コーディネーター事業」は、山梨県行政から委託を受け、看護職員の離職を防止し、確保・定着促進に寄与することを目的に実施しています。看護管理者経験のある看護職2名がコーディネーターに就任し、初年度は県内60の病院を訪問し、離職や定着に関する課題についてヒアリングさせていただきました。看護管理者からは、コーディネーターとの面談を通じて、心理的負担が軽減したというお声もいただいています。中間管理職の離職防止の重要性など、課題も見えてきました。今年度も引き続き、コーディネーターが目的達成に向けて、看護管理者に対して伴走支援を行っています。
「看護職員キャリア形成支援事業」の実施に向けて、検討会を立ち上げ準備を進めています。この事業は、現在の職場に在籍したまま、キャリアアップを支援する仕組みの構築を目指しています。看護職にとっては、自施設を辞めずにキャリアアップしたい、まだ自施設で活躍の場を見いだせていないという方々のニーズを満たすことができます。病院にとっても、出向先で得た知見を院内で活かしてもらったり、優秀な人材の流出を防いだりと、看護職員キャリア形成支援プログラムの意義は大きいと考えています。
現在、他県の先行事例を参考に、山梨県版の看護職員キャリア形成支援プログラム導入に向け準備中です。看護管理者の方々からもご意見をいただきながら、ニーズに合う形で実現できたらと考えています。

山梨県は、面積の8割近くが森林です。富士山や八ヶ岳、南アルプスをはじめとする山々の風景や、年間を通して楽しめる果物も魅力です。県内の移動も、どこからでも1時間ほどで甲府市まで行けるという、コンパクトな県です。
東京圏からのアクセスが良いので、移住先としても人気があります。登山やウインタースポーツが好きな若いファミリーや、もう少し落ち着いた場所で暮らしたいと考える定年後のご夫婦など、幅広い世代が山梨に興味をもってくださっています。

県内には59病院しかないからこそ、各医療機関の管理者どうしの連携や、管理者の方々とナースセンターとの連携がスムーズな点は強みだと思います。
また、看護職の方が転職の相談にいらした際には、守秘義務を徹底し、中立的な立場でお話を伺うことができますので、ぜひ安心してご相談いただけたらと思います。個別に相談したことで実現した働き方などもご紹介できますので、ぜひナースセンターをご活用いただけたら嬉しいです。