支援に行った竹富島診療所にて
へき地・地域看護は、看護師を素敵にする

公益社団法人地域医療振興協会

事務局医療事務本部

地域看護介護部 部長

地域医療研究所地域看護研究センター センター長

大海佳子

地域医療振興協会は、「わが国の地域医療の確保と質の向上」を理念としている。

86施設内(病院・介護老人保健施設・診療所・複合施設)の人的資源を有効に活用できるように「いつでもどこでも限られた資源の中で自ら考え行動できる看護師」を育成像として掲げ、本部研修を企画している。ラダーⅡでは、へき地医療の実情を知るための研修、ラダーⅢ以上になると1泊2日でのへき地や地域医療の見学研修、5泊6日の体験研修と積み重ね、へき地や地域の医療を理解し、体験することで支援に行く抵抗感や不安感を低減させ、さらには地域看護の魅力に触れられる機会としている。いずれの研修でも、受講後の調査では、へき地や地域施設の支援に行きたいと70%~90%の職員が回答しており、昨年度の支援実働日数は前年度比40%増の4,000日を超えた。へき地や地域の看護師確保が益々困難になっており、支援要請が増えてきていることも要因と思われるが、へき地への理解が支援のハードルを低くしていると言ってもよいだろう。

「へき地・地域見学研修~伊勢志摩研修~」参加者集合写真

離島への支援を経験した看護師の語りを以下に紹介する。

“地域の祭りに参加し、そこで生活している人の文化に触れる体験を通して、患者個々の生活や価値観を強く意識した支援を経験した。『自分が正しいと思って実践していた看護は何だったのだろうか』と立ち止まり内省する経験でもあった。『方言が理解できない』『業務がわからない』、わからないことだらけの業務を遂行するためには、『わからない』と表現し教えてもらう必要がある。『わからない』を表現することで知ることができ、業務を円滑に進めるうえで、とても重要で決して恥ずかしいことではないことを再認識した。そして、へき地には、協力を求めると誰もが必ず助けてくれる温かさがある。今は、これまでの経験を活かせばどうにかなる、聞けばできる、協力してもらえばどうにかなる、どんなことでも『何とかなる』と、物事を前向きに捉えて挑戦する姿勢が身についた。医師、事務職、看護職ともコミュニケーションを密にとらないと業務が進まず、自然とコミュニケーション力がついたと感じる。島民の方に助けられたことも多かった。島外から来た新参者を気にかけてくれる患者が多く『ちゃんとご飯食べているか?』と声をかけてくれる。そんな温かさも心地よかった。だからこそ、地域の人のために何ができるのかを、懸命に模索し、その過程で多職種との連携も強化されるのではないだろうか。振り返ると、人間的に自分を大きくさせてくれた経験であったと思う。”

地域支援は単なる人的支援ではなく、支援した看護師の成長の機会になっていることは明らかであり1)、育成という視点で、より積極的な地域支援ができる体制を強化していきたい。そのためには、主任看護師や看護師長のさらなる理解と協力が不可欠であり、管理者対象のへき地研修の強化もしていく予定である。

1)宮沢玲子、他,A大学病院の看護師がへき地医療拠点病院への派遣を経験することによる帰院後の看護実践の変化,自治医科大学看護学ジャーナル21巻p27-36.