茶話会風景
つながることで広がる、へき地看護の魅力

岩国市立本郷診療所
森川 真粧美

山口県東部の山間部にあるへき地診療所で、私は27年間 看護師として勤務しています。地域の人口は約600人、高齢化率は68%です。住民一人ひとりの暮らしに寄り添い、地域で安心して生活できるよう支えることが、私たちへき地診療所看護師の大切な役割です。

へき地診療所看護師の仕事は、診療の補助だけではありません。薬剤師や検査技師がいないため、薬剤や検査機器の管理、訪問診療、オンライン診療の支援、さらには事務作業まで日常的に担います。少人数だからこそ、一人ひとりの役割は幅広く、責任も大きくなります。その一方で、さまざまな場面に柔軟に対応する応用力が身につくことは、へき地看護の魅力の一つです。

しかし、相談できる相手が少ないことや、研修に参加しにくい環境から、孤独を感じる事もありました。

そんな状況が変わり始めたのが、2021年にスタートした山口県のへき地診療所看護師のためのオンラインミーティング「茶話会」です。県内各地の看護師だけでなく、医師や大学教員、看護協会のスタッフとも気軽につながり、日頃の悩みや実践を語り合える場となりました。年に一度の対面での交流「リアル茶話会」も、顔を合わせ、互いに支え合う大切な時間になっています。

リアル茶話会の様子

「自分だけが悩んでいるのではない」、そう思えるようになったことは、大きな支えになりました。また、他施設の実践から刺激を受け、その学びを地域へ持ち帰る楽しさも生まれました。

へき地に点在する看護師がつながることで、一人ではできなかった活動が少しずつ広がり、へき地看護全体の力になっていることを実感しています。最近では他県からの参加者も増え、各地で新たな「茶話会」が立ち上がるなど、その輪は全国へと広がっています。離れた地域で頑張る仲間の支えになれていることを嬉しく思います。

また当診療所では、2020年からD to P with N(Doctor to Patient with Nurse)を基軸としたオンライン診療を提供しています。看護師が患者さんのそばで診療を支援することは、高齢の患者さんや、医療資源が限られ、医療アクセスに課題を抱えるへき地の環境においても、安全で安心な医療を届けることができます。また、患者さんのそばにいる看護師だからこそ気づける変化を捉え、看護の視点から積極的にかかわることで、看護の専門性を最大限に発揮できる場でもあります。住み慣れた地域で安心して暮らし続けたいという住民の願いに応えるため、看取り支援などにも活用しながら、看護の可能性を広げています。

へき地看護の魅力は、住民の人生に深く寄り添い、自分の看護が地域の暮らしにつながっていることを実感できることです。そして看護を続けていくためには、一緒に学び、励まし合える仲間の存在が欠かせません。

へき地医療は、決して一人で頑張るものではありません。医師、看護師、行政、他職種との協働、そして地域を超えた仲間とのつながりがあってこそ続けていくことができます。へき地だからできる看護があり、へき地だからこそ得られる喜びがあります。「楽しくなければへき地医療ではない!」

この思いを胸に、これからも多くの仲間とつながりながら、へき地看護の未来をつくっていきたいと思っています。あなたの看護が、へき地の未来を支えます。